現在の森林の状況

現在の森林の状況

長野県は国内有数の森林県です。
県面積に有する森林面積割合は78%(全国第4位)、
森林面積は105万7千ha(全国第3位)となっています。
その中で、私たちの暮らす諏訪地域はどうでしょうか。

諏訪地域の森林面積は、約5万haです。森林面積割合は71%を占めます。
そのうち国有林等の森林を除いた民有林の総面積は、約3万1千haで、
人工林の面積は約2万1千haあり、全民有林面積の67%を占めています。
人工林の総材積量は約478万立方メートルあります。

この数字をご覧になってどのような印象を受けるでしょうか。
諏訪地域の森林面積割合は日本の平均を上回っています。
諏訪湖を有し、精密産業の盛んな地域ながらも、県の平均を下回るとはいえ
豊かな森林資源に恵まれた地域だといえます。
何よりも精密産業が栄えた地盤には、
天竜川水系上流部の豊かできれいな水の恵みを
森林から得ることが出来たからだともいえます。
また諏訪地域は、高地の特色を生かした農業や、
自然の豊かな恵みに恩恵をうけた観光地としても有名です。
これらすべては、厳しい自然風土に育まれた人びとの知恵が
豊かな森林の恩恵を受けて育まれているからと言っても過言ではないでしょう。

しかし、現在の森林の状況、特に人工林の現状は
非常に厳しい状況にあります。人工林は戦後の拡大造林時期に、
その後ひとの手が入ることを前提に植林された森林です。
しかし、日本は戦後、経済大国の歩みの過程の中で、
国内の木材を使用するよりも、外国産の安い輸入材を使用する方が
価格的に安く利用できるようになり、
国内の人工林の手入れは停滞していきました。

現在私たちが目にする人工林のその多くは、戦後50年から60年経過し、
間伐が行われることなく放置された人工林です。
木材生産、治山的見地やCO2の問題等からも国や県は、
各種の助成金を用意し間伐作業の促進を進めています。
また、各林産会社も厳しい経営状況の中、地域の山造りを行ってきました。
しかし、上に挙げた膨大な森林全てを、
行政と業者のみで網羅することは難しい現状があります。

山林所有者の側から森林を見ると、長野県や諏訪圏内の多くの森林は、
小規模の個人有林を多く含むことから施業効率を上げるために必要な
団地化(施業面積をまとめること)はなかなか進みません。
山林所有者の多くは、この間放置されてきた所有林を
世代交代により正確に把握することが困難となり、
隣の所有者との境界確認も困難となっています。
都市部に移り住み、すでに地域に住んでいない山林所有者の方も見受けられます。
その上、材価の低迷で、ほとんど儲からない森林整備に対する意欲も失っています。
行政の用意した各種助成金の制度についても、
多くの山林所有者に伝わっていない現実もあります。
ますます山林所有者の世代交代が進む中で、
山の現状はすでに待ったなしの状況にあるといえます。

しかし、この困難を目の前にして、何もしないでおけば
樹木は、間伐の行われない不健康な状態のまま成長を重ね、
公共的に地域の環境を支えている基盤を弱める状況を引き寄せます。
また、今手をつけないということは、次世代に向けて
貧弱な森林、災害を誘発する恐れのある森林という
負の遺産を残すことにも繋がります。

木材使用の観点から言えば、日本人は年間約1億立方メートルの
木材資源を消費している現実があります。
赤ん坊からお年寄りまで、ひとり1立方メートルの木材を消費している計算となります。
(これは直径30センチの樹を毎年ひとり1本ずつ消費しているということです)
しかし、そのうち日本の木材自給率は20%です。
自国に豊富な木材資源を有しながら、その大半を
海外に依存している現実があります。
上に挙げた諏訪の人工林の総材積量は478万立方メートルでした。
諏訪6市町村の人口は約22万人です。
総材積量を人口で割れば、一人当たりの木材消費可能量は、
21立方メートルとなります。
非常に単純化した計算ではありますが、
諏訪の人口だけで木材を自給した場合、21年間は木材を賄うことが
数字上では可能です。
そこに木材は毎年蓄積量を蓄えることを考慮し、伐採した後に植林をしていけば、
この数値はもっと自給可能年数を延ばすことが出来ます。

上記のことから、あくまでこれは数値上の操作に過ぎない話ではありますが、
実は諏訪圏内には、膨大な木材資源が眠っているという話に繋げてみたいのです。
厳しい林業や森林の状況ではありますが、
夢のような話から現実を詰めてみたいのです。
諏訪圏内、特に八ヶ岳山麓は、日本の林業地帯や長野県の他の地域に比べ
非常に山がなだらかで、恵まれた環境にあるという地理的利点があります。
諏訪以外の林業関係者やドイツで森林官をやっている方など、
この点については、多くの方々が諏訪圏の森林を見て指摘されています。
そこにこれだけ膨大な森林資源が眠っていると考えればどうでしょうか?
これは、取り組み次第では、将来諏訪圏の森林は
宝の山に変わる可能性を秘めています。

外国産材が安い理由としては、平地での大規模林業経営、
高性能林業機械による林業の効率化、
市場流通システムの確立等が挙げられます。
もちろん現状では、日本の林業の大部分は
全てにおいて太刀打ちできません。
しかし、この現状をすべて林産会社の怠慢として片付けることでは、
林業の置かれたこの間の歴史的視点を欠いてしまいますし、
急峻な山に囲まれた日本の地理的条件への考慮に欠いてしまいます。
また、大規模林業経営や高性能林業機械導入には、
多額の資本金を必要とし、この間、厳しい現状に晒された
(それは国の政策でもあり、消費者の嗜好でもありました)
林産会社には、外国の大規模資本力に太刀打ちできるほどの
力もそがれていきました。

しかし、大規模林業経営、高性能林業機械の導入ではなく、
「小規模経営」、「人間の労働力を基盤にした高性能林業機械の導入」ならば、
地域での循環的林業は可能なのではないでしょうか。
もちろんそのためには、地域を軸とした流通システムの再構築が必要であり、
地域の林業周辺業者との連携も必要であり、
何よりも地域の財産区や山林所有者のみなさんの協力も必要となります。

大規模林業経営、大資本による、地域の山林をただの消費財として捉えるよりも
小規模林業経営による地域の歴史性や思い、考え方と共にある地域の山造りの実践。
大規模林業経営、大資本による、人間性の欠落させた工業的機械林業よりも
小規模林業経営による、地域の人間が生き生きと山仕事に携われる労働環境。
大規模林業経営、大資本による、大規模流通だけが儲かる仕組みではなく
小規模林業経営による、小規模の連携業者が助け合い仕事をしていく仕組み。

もちろん、わたしたちは、非常に弱小な一業者に過ぎず、出来ることは少なく、
だからこそ、目の前の出来ることをひとつずつ実現していくことから
はじめなくてはなりません。
全くのゼロから緑化創造舎をはじめ、出来ることを増やし、技術を磨き
地域のつながりの中で仲間を増やし、何とか会社に資金を残しながら
やっと最低限の搬出間伐に必要な林業機械を最近揃えることができた
ということが私たちの現状です。

でも私たちは、本気でこの地域の山造りに取り組みたいと思い続けてきました。
そして、諏訪圏内で、諏訪モデルで、小規模ながらも実現可能な
地域循環の中で森を維持し続けることのできる仕組みについて模索を続けています。
そういった過程の中で、ありとあらゆる制度と、木材の販路開拓の努力を通じ
まずは、山主負担のない搬出間伐の仕組みに取り組んでいます。
50年前の先人達が、使われることを夢見て、汗を流しながら植林した森です。
出来ることならば、力を蓄え、有効利用をし、循環利用していきたいと思っています。

こういった理念を、過程を地域の皆さんと共有していくなかで、
今は厳しくても、次世代にはもっと夢があり、
経済的にも余裕のある森林を残していくことは
決して夢物語ではないと私たちは考えています。

森林を巡る問題は、行政だけの問題でも、企業だけの問題でも
住民だけの問題でもないのかもしれません。
それは地域という器のなかに暮らす一人一人の問題です。
私たちはこの諏訪圏という地域の中の一住民として、
そして、林業に携わる職能的責任としても、
現在の森林の状況から、次の一手を考え続けていきたいと思っています。

私たちにお任せください

緑化創造舎では個人有林から財産区有林、市町村有林まで、面積の大小を問わず森林の整備を承ってきました。
また、支障木の伐採などではクレーンや重機を使った特殊伐採も承っています。お気軽にご相談ください。